図 1kW級低温度差スターリングエンジンの構造
エンジン形式はα形で、膨張側、圧縮側の両ピストンは熱交換器をはさんで直線状に配置されています 。この配置により、γ型エンジンに対して高い圧縮比が得られ、大幅な流動損失の低減が図られています。
熱交換器は加熱器、再生器、冷却器から構成され、加熱器と冷却器にはサクションの 高性能プレートフィンチューブ熱交換器が用いられています。再生器はスターリングエンジンで 一般的に用いられる積層金網方式で、金網は黄銅製のものが用いられています。
両パワーピストンは独特の「Xヨーク機構」により駆動されています。この機構は、垂直方向及び、 水平方向に対して任意の角度で斜めに設置されたリニアベアリングにより構成されるヨークを、 互いに対向して組み合わせたもので、クランクの回転に伴い、スライダが斜面を往復し、 2つのヨークは、
180-(斜め方向のリニアベアリングの角度)×2
といった位相角で上下に直線運動を行います。
本エンジンでは斜め方向のリニアベアリングの
角度を15°とし、2つのピストンを150°の位相差で作動させています。この機構を用いたことで、
両パワーピストンの駆動系は非常にコンパクトになり、エンジン小型化、並びにピストンのサイドスラスト
の除去による機械損失の低減が可能となりました。
エンジンのボディは、0.8MPaのバッファ圧力の付加に対応する圧力容器構造となっており、 既存の低温度差スターリングエンジンには見られない高いバッファ圧力での運転に対応しております。 これによりエンジン出力の大幅な向上が図られました。